脳の病を患い、ほとんどすべての記憶を失いつつある母・韆鶴。彼女の心に殘されたのは、幼い頃に経験したという「淒まじい恐怖の記憶」だけだった。突然の白い閃光、ショウリョウバッタの飛ぶ音、そして大勢の子供たちの悲鳴―。死を目前にした母を今なお苦しめる「最後の記憶」の正體とは何なのか?波多野森吾は、母の記憶の謎を探り始める…。名手・綾辻行人が奇蹟的な美しさで紡ぎ齣す、切なく幻想的な物語の迷宮。
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