プロローグ 文化装置の誕生――関東大震災以前
1 一九世紀後半~二〇世紀初頭――洋風調剤薬局とソーダ・ファウンテン
2 福原信三のニューヨーク留学→パリ遊学
3 銀座情緒への愛惜――資生堂化粧品部の『銀座』と文化人
4 三科(美容科・美髪科・子供服科)設置と,母子の雑誌『オヒサマ』
5 関東大震災が銀座の歴史的記憶を切断する
第一章 一九二〇年代の都市文化と『資生堂月報』 1924-1931
1 復興に向かう消費の都市空間
2 銀座資生堂新館の化粧品部/高級飲料部/ギヤラリー
3 『流行グラフ』と美術家――田中良・杉浦非水・蕗谷虹児
4 PR誌ではない,読む雑誌/見る雑誌へ
5 パリ・イメージの発信――川路柳虹・岩田豊雄・西條八十
6 身体を装う=「私」という物語の構成
7 洋装のモード――洋服姿の多さに驚いたパリ帰りの石井柏亭
8 和装のモード――銘仙・塗り下駄でパリを歩いた林芙美子
9 髪型のモード――耳隠しへの距離感を書いた芥川龍之介
10 装身のモード――靴/手袋/バッグ/帽子/パラソル
11 香水物語――コティの「パリ」,資生堂の「銀座」
12 家庭婦人の教養・審美眼・趣味――『御婦人手帳』のイデオロギー
13 男性も整容に化粧品が欠かせない?
14 都市文化のモンタージュ――「窓外の化粧」を描いた古賀春江
15 世界恐慌→国産品愛用運動と『資生堂月報』廃刊
第二章 モダンガールと職業婦人――資生堂化粧品部
1 モダンガールは流行語――岸田劉生・堀口大学・平塚らいてう
2 断髪という記号表現――原阿佐緒は「眼玉くりくり生き人形」?
3 アメリカ帰りのメイ・ウシヤマとハリウッド美容室
4 化粧のモダニズム――「精神美容」を説いた片岡鉄兵
5 京都の流行誌『エレガント』,美容誌『スマート』
6 資生堂で香水を――ささきふさの断髪・洋装・化粧品
7 マネキン・ガールの魅力,マネキン倶楽部の争闘
8 女性の社会進出とファッション
9 『ミス・スポーツ』と身体の躍動美
10 女学校の制服と整容講座――文化学院学監を務めた与謝野晶子
11 ミス・シセイドーと,駒井玲子の「近代美粧法」
第三章 アール・ヌーヴォーと商業美術――資生堂意匠部
1 資生堂意匠部と商業美術
2 企業デザイン創出とビアズリー――矢部季の象徴主義
3 美の伝道師――三須裕と美容・美髪・服装
4 フランス文化の香り――川島理一郎の「巴里通信」
5 意匠部長の発信――高木長葉と日本人の身体性
6 広告写真とフォトモンタージュ――井深徴の実験室
7 黒白の線のエロティシズム――山名文夫のカットと写真壁画
8 意匠部スタッフ列伝と唐草模様・ロゴタイプ
第四章 アートの空間――資生堂ギヤラリー
1 モダン東京の美術館とギャラリー
2 第一次世界大戦前の洋行画家の展覧会
3 ロシア・バレエと舞台美術――帝劇で踊ったアンナ・パヴロワ
4 一九二〇年代のパリの風――ファッション・装身具・香水
5 資生堂ギヤラリー新装と,銀座の回顧展覧会/復興美の展覧会
6 三科形成芸術展覧会と前衛芸術家たち
7 パリの美術家物語――川口軌外・佐伯米子・野口彌太郎
8 シュールレアリスムの一五年――福澤一郎を鏡として
9 オートクチュール・アザレ洋装店――山脇敏子の着尺婦人服展覧会
第五章 銀ブラとグルメの楽しみ――資生堂パーラー
1 震災後の東京の胃袋――室生犀星が描いた西洋料理店のコック
2 家庭料理のレシピを提供した『資生堂月報』
3 西洋菓子と飲み物――資生堂製菓部・飲料部からの提案
4 一九二〇年代末の銀座グルメマップ――『東京名物食べある記』
5 資生堂パーラーを流れる空気――パリの香りを愛した安藤更生
6 個人の味覚を反映させたグルメ本――松崎天民の『東京食べある記』
7 一九三〇年代の銀座グルメマップ――『大東京うまいもの食べある記』
8 ハイセンスな資生堂パーラーで――新居格・新田潤・阿部知二
第六章 一九三〇年代の都市文化と『資生堂グラフ』『花椿』 1933-1940
1 流行は銀座の街頭から――パリへの憧憬を描いた美川きよ
2 洋装の美も,和装の美も
3 女性の『フアツシヨン』誌,男性の『洋装』誌
4 近代紳士としての整容の提案
5 資生堂美容室と結髪・美顔・マニキュア
6 身体と都市文化――堀野正雄のレンズが捉えた女性美
7 服飾美をめぐる闘争――ヨーロッパ帰りの田中千代
8 パリのモード力,アメリカの経済力
9 「外地」への進出と,顧客のネットワーク
10 映画/女優/化粧――式場隆三郎・東郷青児・岩田専太郎
11 『スタイル』を『ヴォーグ』のように――宇野千代・岡本かの子・吉屋信子
12 バウハウスと合理の美――山脇巌・山脇道子・大野玉枝
13 ニューヨークで学んだ小幡恵津子の後退戦
14 日中戦争下のモード誌――『流行新相』『銀鐘』『きもの』
15 漫画の文法――風俗・時局・世相をずらす横山隆一
エピローグ 文化装置の崩壊――日中戦争以後
1 日中戦争後の銀座と,『花椿』に忍び寄る戦時色
2 訓練地・「外地」から届く図像と言葉
3 国策と銃後の「限界的化粧」――原料不足と代用品
4 花椿会の物資愛護廃品回収運動
5 「大東亜戦争」と文化装置の消滅
あとがき
関連年表
人名索引
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收起)