執筆分担
戸部良一 第一章、第二章
庄司潤一郎 第三章、第五章
川島真 第四章、第六章、第九章
松本崇 第七章
波多野澄雄 第八章、第一〇章
はじめに 日中歴史共同研究から一〇年
第一部 戦争の発起と展開
第一章 日中戦争への道程
張作霖爆殺/石原莞爾の構想/満洲事変の拡大/独立国家案/犬養首相の和平工作/犬養構想の挫折/リットン報告書/不抵抗方針/連盟脱退/日中関係安定化の模索
第二章 日中戦争の発端
梅津・何応欽協定/華北分離工作/衝突事件の頻発/綏遠事件と西安事件/対中政策の再検討/盧溝橋事件とその後のエスカレーション/和平の試み/船津工作/第二次上海事変
第三章 上海戦と南京事件
日中戦争勃発前の陸海軍の構想・計画/一方、国民政府も「受けて立つマインド」に/海軍は不拡大方針ながらも全面戦争に備える/空軍に自信を持った蒋介石の対応/陸軍も不拡大方針を放棄/海軍航空部隊による爆撃/蒋介石の上海への固執/進撃する陸軍、追認する指導部/南京陥落/南京事件/日中双方の過信と誤り
第四章 南京/重慶国民政府の抗日戦争
国民政府という呼び方/国民政府、抗戦開始/蒋介石も認識していた農村の重要性/国民参政会と共産党/武漢陥落と重慶への移動/さまざまな和平工作/国防最高委員会の設置と総力戦/国民政府の四川省依存と重慶空襲/日本の仏印進駐と宣伝戦/中国共産党の抗日根拠地/太平洋戦争の勃発と日中戦争
第二部 戦争の広がり
第五章 第二次上海事変と国際メディア
当初は日本にも好意的だった国際世論/圧倒的な効果をあげた「悲惨な写真」/アイコン化した蒋介石夫妻/内閣情報部、「写真報道事業」に着手するも……/米国世論は中国支持が圧倒的/宣伝巧者の中国/日本が宣伝戦に失敗した要因/活かされなかった近衛の提言
第六章 「傀儡」政権とは何か──汪精衛政権を中心に
中国では「偽政権」と呼ばれる「傀儡政権」/対日協力者は中国では「裏切り者」とされる/映画「萬世流芳」の世界/満洲国建国の論理/「傀儡」性をめぐって/満洲国に関わる中国人/華北の自立性と南京国民政府/冀東防共自治政府と冀察政務委員会/三つの対日協力政権/汪精衛の「脱出」/汪精衛政権の成立/汪精衛政権の宣戦布告/華僑問題/「傀儡」政権の存在意義
第七章 経済財政面から見た日中戦争
金解禁不況と満州事変/高橋財政の時代/国内経済を犠牲にしての満州の発展/東京ラプソディー/失われた軍への抑制機能/経済的な敗戦/予算・金融統制の有名無実化/対英米協調路線の破綻/誤った情勢判断と対英米開戦
第三部 戦争の収拾
第八章 日中戦争と日米交渉―事変の「解決」とは?
「国際的解決」か「局地的解決」か/内向化していく東亜新秩序構想/「局地解決」構想の後退/「日米諒解案」と日中和平条件/アメリカの回答と頂上会談構想/日支和平基礎条件/ハル覚書の衝撃/「甲案」「乙案」と日中和平問題/ハル・ノートの「国際的解決」構想と日本/仮に「日中直接交渉」が実現していたら……
第九章 カイロ宣言と戦後構想
戦後国際秩序の形成/蒋介石の「算盤」/カイロ会談/カイロ宣言の内容/カイロ宣言の「重要性」/カイロ宣言と歴史研究
第一〇章 終戦と日中戦争の収拾
「負けた気がしない」敗戦/歴史のif―ポツダム宣言の受諾を拒否し、戦争を継続していたら/分離された日米戦争と日中戦争/武装解除をめぐる駆け引き―支那派遣軍・国民党軍・中共軍/国民政府軍と日本軍の接近/中ソ友好同盟条約と中共の方針転換/復員・引揚げ―送還計画の迷走/居留民の「現地定住」方針と挫折/「留用」とその波紋/山西の日本軍/「以徳報怨」の波紋
日中戦争関連年表
参考文献
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收起)