武田信玄にも上杉謙信にも一目置かれた佐野祐願寺、戦わずして
相手の力を抜き取ってしまう伊藤一刀斎、妖術を使う敵も一瞬にして打ち砕
く塚原ト伝、自顕流を天下無敵の剣法に育てた東郷重位、薪一本で剣客を手玉に
取る富田勢源、燕返しの技をもつ佐々木小次郎をびわの木刀の一撃で倒した宮本
武蔵、変幻自在の剣の極意をものした小野次郎右衛門、日本剣道史に大変革をも
たらす「直立ったる身の位」をとりいれた柳生兵庫助、杖ひとつで並みいる敵
を速死にいたらしむる柳生十兵衛、赤穂浪士になるきっかけとなった高田馬場の
決闘で獅子奮迅の働きをした堀部安兵衛......昔の日本には、剣一筋に生きた男
たちがいた。負ければ死ぬという日々を生き抜いた達人たちの生き様、その強さ
の真髄をみごとに描いた著者会心の短編小説集第一巻。同じ日本人とは思えな
い彼らの「神技」の極地をぜひ堪能してほしい。
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