推理作家志望の鹿野の元に一束の推理小説が届けられた。その小説は、実在の登場人物が使われ、親友・尾崎の自殺から始まっていた。そして、小説内に収められた「ワルツ思案せり我が暗号」と題した楽譜。それは、幾通りもの答えを持つ暗号の塊だった。一読した鹿野は何故か異様な恐怖に駆られ、現実の尾崎の元を相談に訪れる。彼は、この小説は未完だという。小説内で幾度も解かれた暗号にまだ解かれていない部分があるというのだ。残された部分に隠されている謎とは…。やがて、狂気に満ちた忌まわしき真実が姿を現し始めた。第一八回横溝正史賞佳作。
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