はじめに
一 なぜ「三島由紀夫と天皇」なのか
二 本論考の意図と概要
第一章 三島由紀夫の天皇意識を內観する
三笠・長門見學/大詔/遺言/昭和廿年八月の記念に/軽王子と衣通姫/花山院/最高の偽善者として―皇太子殿下への手紙/愉しき禦航海を―皇太子殿下へ/祝婚歌 カンタータ―日本書紀巻第十七 勾大兄の皇子と春日の皇女の婚姻の相聞歌のパロディ/『鏡子の傢』/『憂國』/『十日の菊』/『英霊の聲』/二・二六事件と私/三島由紀夫氏の〝人間天皇〟批判―小説『英霊の聲』が投げた波紋/『対話・日本人論』/文武両道と死の哲學/『硃雀傢の滅亡』/『道義的革命』の論理―磯部一等主計の遺稿について/『春の雪』/『奔馬』/二・二六事件について/『文化防衛論』/橋川文三氏への公開狀/反革命宣言/國傢革新の原理―學生とのティーチ・イン/『討論 三島由紀夫vs.東大全共闘―《美と共同體と東大闘爭》』/北一輝論―『日本改造法案大綱』を中心として/守るべきものの価値―われわれは何を選択するか/『日本文學小史』/『椿説弓張月』/問題提起(日本國憲法)/『変革の思想』とは―道理の実現/三島由紀夫 最後の言葉
第二章 三島由紀夫の天皇観を解析する
一 持続性
吉本隆明との対比/戦爭と自己の連続性の根拠としての天皇
二 心情性
北一輝と三島由紀夫/三島由紀夫における天皇崇拝の特異性/特殊な環境の影響力/日本の古典への傾倒/パトスによる天皇體験
三 神格性
古代から近世までの天皇神格性/大日本帝國憲法下の天皇神格性/戦後の象徴天皇/天皇とキリスト教的絶対神/天皇親政/二・二六事件と昭和天皇
四 倫理性
忠義の対象としての天皇/吉田鬆陰と三島由紀夫/教育勅語の忠君道徳/三島由紀夫の生活道徳観/忠義の精神と自決
五 象徴性
(一)革新の象徴
西田幾多郎との近縁性/暴力とテロリズム
(二)宿命に対する自由の象徴
福澤諭吉と三島由紀夫
(三)日本文化の象徴
天皇と日本文化/和辻哲郎・津田左右吉・丸山眞男と三島由紀夫
(四)容共政権を防ぐ裝置の象徴
(五)憲法上の「象徴」
三つの問題提起/製定時の憲法解釈/國體の問題/天皇の地位と國民主権との関係/「象徴」の根拠とその意味
(六)三島由紀夫の天皇観を総閤する
五つの特性の構造的解析/三島由紀夫の「素顔・裸體」と「仮麵・衣裳」/二元論の寶庫/巨大な「問題提起者」
第三章 三島由紀夫の鎮魂を祈念する
論理的解析では解けない謎/倫理的な死/絶対神の渇仰/交霊する文學者たち/「魂魄の永生」を祈願する
あとがき
參考文獻
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收起)