手塚治蟲、有吉佐和子、永井荷風、澁澤龍彥…淡々と穏やかに、あるいは壯絶に、もがき苦しみ…九九の死のドキュメント。戦後という時代、そして戦後にもちこされた戦前という時代の精神が見え隠れする。
冥土の旅はひとり専用。傢族が看取ろうと、壯絶に死を演齣しようと、死に行く人はたったひとり。死の前には人は完全に平等である。だが、そういうシンプルなあり方を誰もが等しく見つめることができるわけではない。この一點で死は不平等でもある。ここに登場する99人は、考えることを生業にした人たちだ。彼らは死を迎えるにあたって何を思ったか?むろん死を正確に見ることができた人など存在しない。ここにはただ99個分の宇宙の眩暈がある。この世で死ぬことの齣來なかった人はひとりもいない。あなたも、等しく、ひとりで死んでいく。ならば、安心して、一足先に死んでいった先輩たちに學ぶことにしよう。
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