音聲知覚の基礎 在線電子書 圖書標籤: 語音研究 語言學 心理學
發表於2024-11-25
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使用する手段が何であれ、人間が意思を相手に伝えることを目的とする、いわゆるコミュニケーションの場においては、通常、意思を伝えようとする側と伝えられる側は分けて扱われ、これら二者の間を結ぶのが音聲であり、文字であり、言語であり、一般的には情報という刺激ということになっています。この情報が相手に伝えられ、理解されて、初めてコミュニケーションが成立します。音韻體係を含む文法體係全體が話者と聴者に共通認識として存在することが前提であり、好きだとか可愛いという情報が相手に確実に伝わることが最優先であり、情報の內容が認識された後の受け手側の感情的変化の過程はここには含まれません。すなわち、言語學や音聲學では、まず話者の大脳內(運動性言語野)において心理的実體としての音聲あるいは言語が意識され、神経細胞により音聲器官を刺激することによって、音聲が産齣され空気中に伝播されていきます。音聲信號は空気の振動となって聴者の聴覚器官を刺激し、さらに內耳から聴神経を通って大脳內(感覚性言語野)に伝えられ、話者からの送信內容を理解する、というのが人間による意思伝達の簡単な図式になるでしょう。また、話者が自ら発した音聲信號をフィードバックにより、話者自らも理解することになります。
以上のように音聲によるコミュニケーションの仕組みについては、概ね、(1)音聲の産齣に係る生理的領域、(2)音聲の伝播に係る物理的領域、(3)音聲の知覚、認識、理解に係る領域、と3つに分けることが可能であり、多くの場閤、それぞれの領域において単獨的かつ専門的研究が行われています。
(1)は內省可能な麵も幸し、ローマ・ギリシャの昔から哲學者たちの関心を集めてきました。また、(2)はコンピュータをはじめとする電子工學的機器類の発達により、本來瞬時的な現象に過ぎない空気振動を可視的な対象として捉えることが可能になり、近年最も研究が進んだ領域となっています。これらに比べ、(3)の領域は大脳の機能とそれに深く関係する心理學的な研究との協同的意味閤いが強く、まだまだ未知、未開の部分が多く、これから大いに発展することが期待される領域といえるでしょう。
言語によるコミュニケーションに関する研究の歴史は古く、前述のように哲學、言語學、心理學、等々の分野で論じられてきました。最近は通信工學、あるいは情報工學の観點から情報の伝達に関連して、1つの研究分野に留まらず、複閤的な形で研究が盛んになっています。とくに、「解る」ということの哲學的な意味は別にして、音聲知覚、音聲認識を手始めに認知言語學や認知心理學、教育工學的な観點から、さらに最近は電子工學的解析技術を駆使した大脳生理の可視的分析を通じて「解る」の解明が日進月歩の勢いで進められています。
言語學の世界では、1900年代半ばに生成変形文法の創始者として登場したNoam Chomskyの言語理論は、多くの點でそれまでの言語研究とは異なるものでした。言語理論に心理學的な視點が與えられ、従來ほとんど取り上げられることのなかった情報を受ける側、聴者の立場による言語研究が可能となり、要求されるようになりました。Chomskyの言語理論の影響は大きく、時同じくしてコンピュータの加速的発達もあって、刺激あるいは情報の受け手の側からの研究が急速に進歩したのでした。また、コンピュータの発達と関連のある醫學、とくに大脳生理學の研究の成果が言語學や心理學の分野にも応用されることによって、受け手の心理狀態がより具體的に分析され、解明されるようになってきました。
しかし、言語の受容に係る問題解明は、まだまだ端緒についたばかりと言っても過言ではないような狀況にあり、今後ますます研究が深化していくことが期待されます。音聲の認識に関する研究論文や著作物も年々數を増してきてはいますが、多くは限られた分野で、しかも研究內容にバラツキがあり、総閤的な傾嚮を與えてくれるには到っていないようです。その意味でJack Ryalls博士による本書は、そのタイトルから入門的なレベルとして扱われがちですが、音聲の知覚や認識研究の近年の動嚮を平易な形で紹介し、同分野に対する概論的なパースペクティブを與えてくれるものとして貴重な存在です。將來的な展望を與えてくれるコンパクトな概論書として、音聲知覚に限らず音聲一般を研究対象とする音聲學、言語學、心理學はもとより音響音聲學、言語障害學などの講義や授業用參考書として、最適なものといえるでしょう。
評分
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