社交する人間 在线电子书 图书标签: 社会学
发表于2024-11-23
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京都府出身。京都府立鴨沂高等学校を経て、京都大学文学部哲学科美学美術史専攻卒業。同大学院博士課程修了。イェール大学演劇学科留学。関西大学文学部教授、大阪大学文学部教授、東亜大学学長などを歴任。戯曲と共に文明的な観点からの社会評論を多く著す。成熟した個人主義に基づいた近代社会を提唱しており、企業メセナやボランティアの概念を日本に普及させた当事者の一人である。西宮市在住であり、阪神・淡路大震災に遭遇したが、その際の市民ボランティアを「柔らかい個人主義」の実現と高く評価した。政治思想的には中道・親米的な現実主義の立場に立っているものと思われる。その著書が高等学校の国語教科書や大学入試などでよく使用されることから一般的な知名度も高い。
近年は福澤諭吉の「脱亜入欧」論に倣い、「脱亜入洋」(洋=オセアニア)論なるものを唱えている。
また、中教審の会長という立場にありながら、「文芸春秋」07年10月号での養老孟司との対談において「70歳以上の人に阿片を解禁したら幸せな老人が増えるかもしれない」との発言を行ったことから、物議を呼んでいる。
グローバル化によって衰退する組織原理。国家や企業を離れ、茫漠とした「地域社会」のなかに曝される現代人に、心の居場所はあるか―。「社交」の復権による新しい人間学の誕生。
世界を構成する原理に何か大きな異変が起きていると感じる人は多い。ところが対策としては、「自己決定」の推進が関の山であるかに言われている。医療については患者が情報を得て自分で治療法を決定する「インフォームド・コンセント」が進められているが、それで万能かというとそうは言えまい。分かりもしない分野について素人が選択したからといって、何かが解決するわけではない。
確率そのものが計算できない「リスク」の高まりは、医療のみならず環境問題や食品安全においても深刻だ。これが未知の現象だとすれば、グローバル化やIT化、そして欲しいものに「友達」が挙がる淋しい社会もまた未曾有である。こうした問題を解決する導きの糸として、著者は「社交」に注目する。
社交は、ゲマインシャフトのように血縁や共同体で閉じた関係ではない。友人関係のようにもう少し距離を置き、といって顔が見えないほどには離れない。その原理に関心を向けた人には、社会の原点を人の相互作用に求めたジンメルや「遊び」を重視したホイジンガ、職人的なもの作り技術(「アルス」)を哲学的に把握したコリングウッドという思想の系譜があるという。
社交の衰退には、近代的な工業技術の展開がかかわっている。いつでも誰でも同じものが作られるとなれば、作り手個人の個性は無用となり、物作りの職人芸や対人のサービス業は時代遅れとなる。大量生産・大量消費・大量廃棄が社会の趨勢となる。
ところが近代工業の時代にも、くせや勘、感情や共感といった要素は死に絶えなかった、と著者は見る。その証拠に、今になって売れているものは対人サービスであり、職人芸的ブランド品であり、品揃えで主人の個性を競う「セレクト・ショップ」である。
時代は一巡したかに見える。では以前とはどこが異なるのか。この点を敷衍することが次の課題であるようだ。
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