日本の読者へ
序 章 ナラティヴと主観性の復権──民俗学からの問い(岩本通弥)
1 ナラティヴの時代=個人化する世界
2 アルブレヒト・レーマンと〈日常の語りアーカイヴ〉
3 〈日常の語り〉と〈意識分析〉
4 日独民俗学の乖離
5 本書の構成と論点──日常・経験・意識をめぐって
第Ⅰ部 なぜ〈語り〉研究なのか
第1章 民俗学の方法としての意識分析(アルブレヒト・レーマン:及川祥平訳)
1 民俗学/ヨーロッパ・エスノロジーの文脈における文化科学的意識分析の歴史と問題設定
2 記憶の語りの資料的価値に関する考察
3 語りの型(マスター)
第2章 ドイツにおける日常の語り研究の系譜(法橋 量)
1 日常の語りとは何か
2 語りの日常研究前史
3 労働の日常と語り──仕事の話
4 体験と語り
5 メディアと日常の語りの現在
第3章 カタリとハナシ──世間話研究の展開(山田厳子)
1 「書かれなかったこと」と「語られなかったこと」
2 ハナシとカタリ
3 「世間話」研究の展開
4 フィールド経験と「談話」研究
第4章 神秘化された森と環境保護運動──ドイツの事例より(アルブレヒト・レーマン:識名章喜・大淵知直訳)
1 はじめに
2 ロマン派の時代
3 ロマン派とドイツの神話
4 「森の死」が環境破壊の隠喩に
コラム 神秘の森と里山(篠原 徹)
第Ⅱ部 意識分析とナラティヴ
第5章 気分と雰囲気──意識分析のコンテクストにおける記憶と語りに及ぼす影響(アルブレヒト・レーマン:内藤文子訳)
1 はじめに
2 経験概念と状況
3 雰囲気──哲学と語り研究との間
4 空間─知覚と雰囲気─もの
第6章 〈意識分析〉がもたらす革新──社会福祉研究の立場から(池埜 聡)
1 社会福祉研究の固有性とジレンマ
2 社会福祉研究における質的研究
3 意識分析と社会福祉研究──重なり合うもの
4 意識分析がもたらす新たな射程
第7章 民族誌的研究とナラティヴ──対話のパフォーマティヴィティ(門田岳久)
1 ポストリアリズムと語り研究
2 民族誌とナラティヴ
3 語る主体への注目
4 事実とリアリティ
5 発話とパフォーマティヴィティ
6 対話・合意・実践──終わりにかえて
第8章 意識分析における「語り」と「記憶」の位置(山 泰幸)
1 経験としての語り
2 語りと雰囲気
3 ライフコースの個人資料としての語り
4 なぜ意識分析は量的な手法を取っているのか
コラム 意識分析は日常の語りを捉えることができるのか(足立重和)
第Ⅲ部 オーラル・ヒストリーと語りのアーカイヴ化
第9章 意識分析とオーラル・ヒストリー──オーラルナレーションのアーカイヴ化(アルブレヒト・レーマン:法橋量訳)
1 オーラル・ヒストリー
2 説話研究とアーカイヴ化
3 記憶とアーカイヴ化についての省察
4 アーカイヴ研究の質的基準
第10章 社会学における質的データとアーカイヴ化の問題──オーラリティと声の公開の可能性(小林多寿子)
1 社会学におけるアーカイヴ化の問題
2 ハンブルク大学「日常の語り」アーカイヴと「アーカイヴ風土」
3 アーカイヴ化の可能性
4 オーラリティとアーカイヴ──声を声のまま聴く
5 社会学的アーカイヴズの可能性
第11章 歴史研究のなかの「記録」(原山浩介)
1 歴史研究におけるオーラル・ヒストリーの課題
2 人々の戦争「体験」
3 歴史叙述と記録との関わり
4 オーラル・ヒストリーへの理解の共有に向けて
第12章 ライフ・ストーリーと民俗学(中野紀和)
1 学問領域をつなぐオーラル・ヒストリー
2 テクストそのものからテクスト生成過程へ
3 オーラル・データを聞き直す──語りの多面性
4 聞き書きの場
5 データの収集から公表まで──実際の作業から
6 記憶の記録化をめぐるさまざまな試み
コラム なぜ個人的な日常の説話をアーカイヴ化するべきなのか──考察と事例(アルブレヒト・レーマン:法橋量訳)
コラム エゴ・ドキュメントに関する学際的議論と「日常の語り」アーカイヴ(カリン・ヘッセ-レーマン:法橋量訳)
あとがき
索引
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收起)