幼い頃のトラウマから、人間を『もの』としか見ることができなくなった如月巳波。そんな彼が悪夢で目覚めた朝に求めるものは、同居人である尾崎一雅の肉体の熱だった。父親から受け継いだ組を解散し、今は不動産会社を経営する元極道の尾崎は、成熟した雄の魅力を全て持ち、男女構わずベッドに連れ込むような男だが、如月に対してセックスを求めることはなく、そして如月も、尾崎の熱が悪夢に凍える自分を溶かしてくれはするものの、それ以上の関係を結ぶつもりはなかった。――そう、尾崎を『人間』として認識してしまったあの日までは。
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