カラー口絵
前言―中国版画の基本的特質及び本書出版の意図と概容―
第一部 古典的版画の形成と継承―唐、宋、元代の版画の諸相―
第一章 仏教版画の時代―木版画の誕生と唐、北宋期の発展―
はしがき
一、刻む文化の伝統と版画の誕生
二、版画の黎明―唐代の仏教版画―
三、仏教版画の黄金期―五代、北宋期の飛躍的な質的向上―
結び
第二章 『御製秘蔵詮』版画の山水表現―十世紀末の宋初宮廷山水画に関する試論―
はしがき
一、太宗による『秘蔵詮』の出版とその高麗版
二、『秘蔵詮』版画の画作者と五代の蜀山水画
三、『秘蔵詮』版画と唐風古様
四、『秘蔵詮』と五代、北宋の山水画
結び
第三章 多様化する用途―宋、金代に始まる世俗的版画の展開―
はしがき
一、『新定三礼図』に図解された儒学の基盤と聖人君子のイメージ
二、宋版『列女伝』の復刻と顧愷之人物画風の伝承
三、『考古図』と『宣和博古図録』―研究、鑑賞と新たな造形の手引き書―
四、〈四美図〉と〈関羽像〉―金代版画にみる北宋版画の遺風と変容―
結び
第四章 元代版画の伝統継承と新展開―宗教関連版画と実用図書の挿絵について―
はしがき
一、元代の仏教関連版画―法華経版画の新構想と祖師の肖像版画―
二、『玄風慶会図』―南宋の杭州から受け継ぐ高い鑑賞性―
三、『飲膳正要』と『事林広記』―実用図書の挿絵版画―
結び
第二部 通俗文学書と挿絵版画―新たな版画ジャンルの誕生と成長―
第一章 通俗文学と版画―元代から明代中期にいたる文学挿図本の発展状況―
はしがき
一、元代の建安版画―『全相平話五種』の挿絵―
二、明代前期の建安と金陵の版画―『剪燈餘話』『嬌紅記』の挿絵―
三、明代前期の北京の版画―『説唱詞話』十六種他の挿絵―
四、弘治本『西廂記』版画―大型豪華本挿絵の傑出した鑑賞性―
結び
第二章 建版と金陵派版画―地方様式の盛衰と相互関係について―
はしがき
一、建版の伝統様式の伝播と新展開
二、万暦期建版の挿絵版画の変遷
三、金陵派版画と富春堂刊本―『古列女伝』『琴心記』他の挿絵―
四、王希堯と王少淮―金陵派版画の掉尾を飾る二人の画家―
五、金陵派版画の変容―富春堂刊『西廂記』と二種の建版重刻本―
六、『新刊出像音注韓朋十義記』二種―金陵派版画と徽州の版元の関係―
結び
第三章 徽派版画の三十年(上)―万暦前半までの安徽版画と丁雲鵬の版画活動―
はしがき
一、徽派版画以前―万暦期前半までの安徽版画と文房四宝の伝統―
二、丁雲鵬の版画活動と徽派版画
―画家と版画の新しい関係及び文人名士たちとの交流から生まれた挿絵版画―
結び
第四章 徽派版画の三十年(下)―専門画家、黄氏刻工と有力版元の活躍―
承前
一、徽派版画様式の誕生―一五九〇年代後半の『琵琶記』と『西廂記』の挿絵他―
二、徽派版画様式の確立―『列仙全伝』『人鏡陽秋』『仙媛紀事』『古今女範』の版画―
三、杭州制作の最盛期の徽派版画―『元本出相南琵琶記』に到る細密な意匠性の追求―
四、汪耕と後続の版下画家―徽派版画様式の到達点と変質―
五、黄応瑞と黄氏一族―徽派版画の最盛期の刻工たちの活躍―
結び
第三部 画家と版画―明末から清末にいたる版と絵の相互交流―
第一章 彷徨する美人像―仇英仕女像の版画化による変貌の足跡―
はしがき
一、仇英の肉筆美人画
二、継承と歪曲―版画化された二様の仇英美人像―
三、文徴明書、仇英画「西廂記書画冊」―版画から生まれた清代の偽書画冊の一例―
四、江戸時代に舶載された仇英美人画
結び
第二章 陳洪綬の版画活動―挿絵版画の芸術的自立―
はしがき
一、陳洪綬の版画作品
二、陳洪綬版画の特色と変容
三、版画と肉筆画の相互交流
結び
第三章 蕭雲従の人物版画への挑戦―『離騒図』「九歌」篇の視覚化の独自性―
はしがき
一、蕭雲従の屈原像―『離騒図』の構成と「離騒」篇挿絵の創作―
二、『九歌図』版画―図像の改訂と新たな構想―
三、憂いに会う―『離騒図』の制作環境と時代背景―
結び
第四章 閔斉伋刊『西廂記』の多色刷り挿絵―呉興の文人趣味と最新技法が生み出した明代版画の精華―
はしがき
一、閔氏の出版事業の意義と閔斉伋刊『西廂記』原本の特定
二、ケルン本版画にみる文芸的造詣と工芸的装飾性
三、文人趣味と通俗文学と版画の出会い
結び
第五章 清代人物版画小史―伝記類版画に描かれた英雄、名士と名媛―
はしがき
一、『凌煙閣図』の唐建国功臣像
二、『息影軒画譜』にみる崔子忠人物画の復元
三、『無双譜』の女帝、名将から石工にいたる斬新な人選
四、『晩笑堂竹荘画伝』に描かれた諸像の新たな実在感
五、『雲台二十八将図』と功臣図の復活
六、『歴朝名媛詩詞』『百美新詠図伝』『秦淮八艶図詠』に描かれた才媛たち
七、任熊の版画活動―清代人物版画の終焉―
結び
第六章 蘇州風景版画と西洋画法―十八世紀の中西折衷様式の成立と民間での展開―
はしがき
一、蘇州風景版画に先駆ける洋風―銅版画を通じた明末清初期の西洋画法の受容―
二、中西折衷様式の確立
―雍正、乾隆期の宮廷画家、『視学』出版とカスティオーネの役割―
三、西洋画観の変化―中西折衷様式の確立と蘇州風景版画流行の一背景―
四、蘇州風景版画と宮廷画院の中西折衷絵画にみる相互交流のメカニズム
五、蘇州風景版画選―雍正から乾隆初期の代表的作例―
結び
余考―日本への舶載―
第四部 画譜の歴史―絵画の発展とともに―
前書
第一章 画譜の誕生と初期の発達
―南宋『梅花喜神譜』から明代中期『高松画譜』まで―
はしがき
一、南宋刊『梅花喜神譜』―文人の梅癖と画譜のはじまり―
二、元、明代中期の画譜―『竹譜詳録』にみる画譜の古典的形態他―
三、『高松画譜』の出版―花鳥画譜のシリーズ化―
結び
第二章 劉世儒の墨梅と同時代の支持者
―『劉雪湖梅譜』初刻本の出版とその意義をめぐ って―
はしがき
一、『劉雪湖梅譜』初刻本の問題と出版の経緯
二、初刻本の挿絵版画
三、劉世儒の題詩と贈言を寄せた文人達
結び
第三章 肖像画法の図解―翁昂編『傳眞秘要』出版の意義と物議―
はしがき
一、肖像画論と画法―顧愷之の逸話から王繹の制作論まで―
二、肖像画譜誕生―翁昂著『傳眞秘要』の制作とその画論部分―
三、肖像画譜の命脈―翁昂編『傳眞秘要』の挿絵版画―
四、『傳眞秘要』の盗作問題―版元の営利と出版倫理―
結び
第四章 万暦期総合画譜の発展(上)―多彩な制作者、版元と拡がる対象読者層―
はしがき
一、『画薮』にみる人物画譜の新たな編纂と総合画譜への道
二、『図絵宗彝』における画刻の人気コンビの起用と対象読者の拡大
三、『三才図会』に現われる総合画譜のダイジェスト版
第五章 万暦期総合画譜の発展(下)―明末地方王族の画学書『画法大成』―
承前
一、『画法大成』と魯藩王族画家
二、花鳥画譜と呂紀様式
三、人物画譜と後期浙派及び『仙仏奇踪』
四、山水画譜の特質と倣古の実態
五、山水図の制作と粉本
六、本画譜出版の意図と『画法大成』の宿命
結び
第六章 顧炳編『顧氏画譜』(上)―歴代名画の集大成と絵画史情報の公開―
はしがき
一、『顧氏画譜』の編者顧炳と出版の目的及び事情
二、画家と画題の選択及び特徴
三、歴代名画複製の実際と限界
四、顧炳の交遊と張、祁両家他の題識者たち
結び
第七章 顧炳編『顧氏画譜』(下)―明末詩画集と明清絵画にみる利用状況―
承前
一、版から版へ
二、版画から生れた王悦《倣古山水画冊》と順治帝《雪景山水図》他
三、版と絵の循環が生み出す贋作
結び
第八章 『八種画譜』の複合的実態と制作事情
―唐詩の絵解き、画法書、花鳥図鑑から明代複製名画集まで―
はしがき
一、唐詩の絵解き―詩画集『五言唐詩画譜』の成立の背景―
二、蔡汝佐挿絵の人気と波紋―挿絵画家の起用と画譜の編集協力者たち―
三、編集方針の変更―四君子画譜構成の工夫と草木花鳥譜の祖型―
四、明末画家たちの参加―清絵斎の二画譜の特色と狙い―
五、もうひとつの複合画譜―清絵斎『金氏画譜』の存在と『八種画譜』との関係―
結び
第九章 『芥子園画伝』初集・二集・三集―歴朝最大のベストセラー画譜シリーズ解題―
はしがき
一、『初集』の企画、編纂―明清画譜と版画からの継承―
二、花鳥画譜の集大成―『二集』『三集』の編纂と花卉、翎毛、草虫の色彩版画―
結び
第十章 清代人物画譜の試み―三種類の『芥子園画傳四集』と上海派人物画―
はしがき
一、『嘉慶版四集』―丁皋「写真秘訣」付『芥子園画傳四集』と明清伝記類版画―
二、『王墀画四集』―王墀による『芥子園画傳四集』の創作人物画集―
三、巣勲臨本四集―体系的構成と上海派人物名画集―
結び
転載図版一覧
あとがき
〔英文要旨〕Chūgoku Hangashi Ron(Discourse on the History of Chinese Pictorial Printmaking)
索引(人名/書籍名/作品名)
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收起)