11世紀から17世紀の中国の近世思想は、朱子学から陽明学への転換として見られるが、本書は宋学における一貫した流れとしてそれらを捉える。宋学における道問性と尊徳性という共通認識と思考枠組みが天観(宇宙論)の変化とともにどのように展開していくのか、著者は歴史的現実における「礼」の解釈を軸に分析し、考証学者による朱子学のイメージが虚像であることを明らかにすることによって、中国思想のみならず近世日本の思想研究にも多大な波紋を投げかける。
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