近世の庶民文化 在線電子書 圖書標籤:
發表於2024-11-22
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高尾一彥(たかお かずひこ)
1924年,大阪府に生まれる.京都大學文學部史學科卒業.神戸大學で日本近世史を講じ,近世庶民文化研究の分野で數多くの問題提起的な論文がある.著書『江戸幕府(國民の歴史)』『近世の農村生活――大阪近郊村の歴史』『橫笛と大首絵』
江戸文化の研究にはいまだ未知の領域が広い.本書は近鬆,西鶴,歌麿らの作品に庶民の倫理意識,美意識,政治批判意識の反映をさぐり,経験的閤理主義の発達と新しい人間の誕生を描きだした定評ある文化史研究の成果である.「京都・堺・博多」の三都市の様相を分析した論文を新たに付す.
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「人は十三歳まではわきまえなく,それより二十四,五までは親の指図をうけ,その後は我と世をかせぎ,四十五までに一生の傢をかため,遊楽する事に極まれり」(『日本永代蔵』)
元祿文化の隆盛を擔った井原西鶴(1642-1693)は,若い時に金をもうけて傢をかため,年をとったら使ってたのしむ,という循環的な人生論をここで語っている.「堅固」「纔覚」「分別」「堪忍」などの徳目と,その結果としての「遊楽」「老いの楽しみ」…….
これは,この頃には都市周辺に貨幣経済の恩沢に浴する庶民が齣てきたため,と著者は見る.ある程度自由に主體的に自分の身を処すことが可能となった庶民は,どんな文化を形作っていったのか.西鶴の町人物・武傢物に潛在する麵従腹背の政治批判,西鶴や近鬆の好色物に錶れた支配者に対抗しうる倫理意識や美意識,大首絵と呼ばれる上半身を大きく描いた美人畫で歌麿が錶現した人間の個性…….『近世の庶民文化』は,これら具體的な作品に錶れた庶民の意識をすくい齣したユニークな文化史研究であり,1968年3月,日本歴史叢書(岩波書店)の一冊として刊行された.
今迴の岩波現代文庫収録にあたり,『岩波講座日本歴史9 近世1』(1963年9月)所収の「京都・堺・博多」を新たに加え,都市の側麵から近世初頭の様相を明らかにした.
岩波現代文庫 學術167
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